1月19日ファシリテーション勉強会が行われました。(主催/たまプラnetwork)
場所は美しが丘中部自治会館。講師は、ファシリテーションの達人、(株)石塚計画デザイン事務所の石塚雅明先生。時間は15:00から18:00まで。出席者は、次世代郊外まちづくりの住民創発プロジェクトグループのメンバーを中心に合計27名。
「3時間で身につく! ファシリテーションの技術とワークショップの企画運営力」
この日のために24ページのテキストを用意していただきました。
このテキストには、ファシリテーターとワークショップの要点が凝縮されています。
まず、石塚先生によりファシリテーターの役割についてお話がありました。
「ファシリテーターって何?」
ワークショップのファシリテーターは、話し合いの進行役ですが、参加者の意見を積極的に引き出し、参加者同士がお互いの意見に触発され発想する、創造的な議論を促す役割を担います。
自分の主張を展開したり、議論を決まった方向に誘導したりしてはいけません。
(テキストより)
ワークショップでは、予め決まっている結論に導くのではなく、予断を排除して意見を述べ合うことで、今まで気がつかなかった別の観点や、別の解決の可能性を見つけ出して、問題解決の糸口を探ることに意義があります。
次にファシリテーターの3つのスキルについてお話しいただきました。
1.常に「笑顔とうなづき」を忘れない
2.意見をどんどん書き留める
3.意見を整理し論点を示す (テキストより)
この中で特に「笑顔とうなづき」の重要性を強調されました。
「笑顔とうなづきは、話し合いの基本」
発言しやすい雰囲気をつくるのに「笑顔」は最も大切で効果的!
思わず笑顔で返したくなる、素敵な笑顔を練習しましょう
発言に耳を傾けている(受け止めている)姿勢を示すには「うなづき」が効果的!
(テキストより)
ファシリテーターには「笑顔とうなずき」が重要で、ファシリテーターのスキルの6割と石塚先生は言われました。
「笑顔とうなづき」はあまりにも当たり前で、誰でも出来そうですが、実は、実際にワークショップに参加すると、意見の書き留めや整理に気を取られて、なかなか出来ません。
人は、相手がうなづいてくれるだけで、自分の話を聞いてくれている、もっと話そうという気になります。相手が笑顔だと、こちらも心を開き、話してみようという気になります。
改めて「笑顔とうなづき」の大切さを実感しました。
皆さん、一日習っただけでピアノを完璧に弾ける人っていますか?
モーツァルトでもない限り、一日ではピアノを完璧に弾きこなすことは出来ないでしょう。
1年毎日練習したって、プロのようには引けません。
「笑顔とうなづき」も同じです。
そのことを知っただけで、何か簡単にできるように現代人は錯覚しがちですが、ピアノを習っても一日では弾けないように、「笑顔とうなづき」だって簡単には出来ません。
絶えず、気をつけて、練習してやっと出来るようになります。皆さんも「笑顔とうなづき」を知って満足するのでなく、いつも気をつけて練習してみてください。無意識で「笑顔とうなづき」ができるようになるまで練習すると、コミュニケーション能力の向上にもつながります。
続いて「実習」。4人1組で「私がたまプラで自慢に思うこと」について、ひとりの人が発言した内容を、他の3人が要点をまとめて、ポストイットに書き留めます。
書き留めた内容を皆で振り返ります。次の人が発言し2巡して、終わりました。
「発言を書き留めることの意味」
記憶には限界があります
頭のなかですべてを把握するのは不可能!?(テキストより)
一人が3つの意見を言ったとしたら、8人が議論に参加すると24の意見になります。
それをすべて頭の中で把握することは出来ません。把握できないので、自分が言った意見に固執することになりがちです。
それを防ぐためにも、意見を書き出して、目に見える形にします。
「意見を書き出すときの留意点」
言葉は簡潔にわかりやすく。見やすさも配慮を。
体言止めより「動詞」など言葉に動きを。「形容詞」も。(テキストより)
1枚のポストイットには,1つの意見を書きます。
さらに「発言のくくり」を行い,論点を明確にします。
まず,内容が似たものを集めて「くくりシート」(*)に貼り,「くくりの言葉」=標題をつけます。ここで大事なことは,無理にまとめようとしないで,1枚だけのポストイット(=意見)も「一匹狼」としてどんどん存在させることです。
「くくりの言葉」は発言の内容から飛躍しないように,発言のキーワードを集めて、「良いとこ取り方式」でつくります。また,「できるだけ体言止めにせず,読んで内容がわかる言葉」にします。
(*)石塚計画デザイン事務所特製「くくりシート」
発言をうまくまとめるために、特製の「くくりシート」が作成されています。
この「くくりシート」を使えば、意見の書かれたポストイットを、事前に、内容ごとにある程度まとめてから,模造紙に貼ることができます。
ポストイットにはサインペンで書き、見出しはマーカーで書きました。
マーカーの「【基本】線の引き方」
長辺が水平になるように持つと見やすい字に
ペンの向きは固定して動かさない→早く書ける
美しくなくてもよいので、見やすい大きな字で
文字に使う色は紫、青、緑、
黄色、赤、オレンジは強調に(テキストより)
このように具体的にマーカーの使い方を習いました。
休憩を挟んで、「ワークショップの企画運営5つのポイント」を勉強しました。
1.目的と成果の活かし方を明確に
2.参加して欲しい人に参加してもらう
3.誰もが話せる話し合いの入り口
4.達成感のある目に見える成果を
5.参加者以外への情報発信も大切 (テキストより)
ワークショップを始める前に、なんのためにやるのか、そしてその成果の活かし方、期待する波及効果を確認します。予定調和的、誘導的な議論ではなく、創発的な議論をめざします。ただし、議論のシミュレーションを事前にしておくのは有効。
どんな人たちに参加して欲しいか。課題を抱えている当事者の声を聞きたいのか、担い手を育成したいのか。また、誰でもできるだけ多くの人に参加して欲しいのか、既存の組織との合意形成が目的なのか。どうしたら,趣旨にかなった参加者を集められるかを考えます。
また、議論の入り口は誰でも話せるテーマで。例えば、プラス要素=○○の自慢は?やマイナス要素=どんなことで困っている?(プラス・マイナス型)、最近感動した体験は?(自己体験型)、心に残る思い出は?(思い出型)、わたしなら,こんなことができる(モチベーション型)など。
そして、ポストイットを貼った模造紙だけでなく、議論の成果のかたちを工夫。
さらに、参加者以外の人たちを取り込む工夫も。
なかなか難しいですね。
次は、いよいよ3人ワークショップの演習です。
「簡単!3人ワークショップ」
普通ワークショップはファシリテーターの力量に左右され、参加人数もファシリテーターの人数次第になります。そこで石塚先生が、ファシリテーターなしでもできるワークショップとして3人ワークショップを考案されました。
3人ワークショップのテーマは「美しが丘公園で拠点づくりを実現させるために、考えなければいけない課題とは何か?」「拠点づくりに多くの住民や応援団をまきこむには何をすればいいかを考えよう!」の2つ。
1.自己紹介
2.各自3~5枚に意見を書き出す
3.意見発表し似た意見を「くくりシート」に貼る
4.「くくりシート」に標題を記入する
5.皆で「くくりシート」の内容を確認する
という手順で行いました。
最後に、グループごとに発表し、後ろの壁に貼ってある模造紙に「くくりシート」
を貼り、さらに同じような内容の「くくりシート」を集めてタイトルをつけ,論点を明確にしていきました。その後、一人一人に配られた丸シールを気に入った意見や「くくり」に貼りました。この過程を通して、大きな論点と皆さんがどこに関心を持っているか、どの点が重要と思っているかが浮き彫りにされました。
予定の3時間を30分ほどオーバーして終了しました。
参加者からは「とても勉強になりました、ぜひ、これからも続けて欲しい」
「分かりやすいワークショップで、アイデアや、意見のまとめ方は特に参考になりました」など大好評でした。石塚先生ありがとうございました。
そして、また、ぜひ、続きをお願いします。(写真/立山徹)
(株)石塚計画デザイン事務所 http://www.community-design.jp/