ファシリテーション勉強会レポート
スキルの6割は「笑顔とうなづき」

DSC00978
1月19日ファシリテーション勉強会が行われました。(主催/たまプラnetwork)
場所は美しが丘中部自治会館。講師は、ファシリテーションの達人、(株)石塚計画デザイン事務所の石塚雅明先生。時間は15:00から18:00まで。出席者は、次世代郊外まちづくりの住民創発プロジェクトグループのメンバーを中心に合計27名。
20140208_000945
「3時間で身につく! ファシリテーションの技術とワークショップの企画運営力」
この日のために24ページのテキストを用意していただきました。
このテキストには、ファシリテーターとワークショップの要点が凝縮されています。
まず、石塚先生によりファシリテーターの役割についてお話がありました。

「ファシリテーターって何?」
ワークショップのファシリテーターは、話し合いの進行役ですが、参加者の意見を積極的に引き出し、参加者同士がお互いの意見に触発され発想する、創造的な議論を促す役割を担います。
自分の主張を展開したり、議論を決まった方向に誘導したりしてはいけません。
(テキストより)

ワークショップでは、予め決まっている結論に導くのではなく、予断を排除して意見を述べ合うことで、今まで気がつかなかった別の観点や、別の解決の可能性を見つけ出して、問題解決の糸口を探ることに意義があります。

次にファシリテーターの3つのスキルについてお話しいただきました。
1.常に「笑顔とうなづき」を忘れない
2.意見をどんどん書き留める
3.意見を整理し論点を示す (テキストより)
この中で特に「笑顔とうなづき」の重要性を強調されました。

「笑顔とうなづきは、話し合いの基本」
発言しやすい雰囲気をつくるのに「笑顔」は最も大切で効果的!
思わず笑顔で返したくなる、素敵な笑顔を練習しましょう
発言に耳を傾けている(受け止めている)姿勢を示すには「うなづき」が効果的!
(テキストより)

ファシリテーターには「笑顔とうなずき」が重要で、ファシリテーターのスキルの6割と石塚先生は言われました。
「笑顔とうなづき」はあまりにも当たり前で、誰でも出来そうですが、実は、実際にワークショップに参加すると、意見の書き留めや整理に気を取られて、なかなか出来ません。
人は、相手がうなづいてくれるだけで、自分の話を聞いてくれている、もっと話そうという気になります。相手が笑顔だと、こちらも心を開き、話してみようという気になります。
改めて「笑顔とうなづき」の大切さを実感しました。
DSC00967
皆さん、一日習っただけでピアノを完璧に弾ける人っていますか?
モーツァルトでもない限り、一日ではピアノを完璧に弾きこなすことは出来ないでしょう。
1年毎日練習したって、プロのようには引けません。
「笑顔とうなづき」も同じです。
そのことを知っただけで、何か簡単にできるように現代人は錯覚しがちですが、ピアノを習っても一日では弾けないように、「笑顔とうなづき」だって簡単には出来ません。
絶えず、気をつけて、練習してやっと出来るようになります。皆さんも「笑顔とうなづき」を知って満足するのでなく、いつも気をつけて練習してみてください。無意識で「笑顔とうなづき」ができるようになるまで練習すると、コミュニケーション能力の向上にもつながります。
DSC00968
続いて「実習」。4人1組で「私がたまプラで自慢に思うこと」について、ひとりの人が発言した内容を、他の3人が要点をまとめて、ポストイットに書き留めます。
書き留めた内容を皆で振り返ります。次の人が発言し2巡して、終わりました。

「発言を書き留めることの意味」
記憶には限界があります
頭のなかですべてを把握するのは不可能!?(テキストより)

一人が3つの意見を言ったとしたら、8人が議論に参加すると24の意見になります。
それをすべて頭の中で把握することは出来ません。把握できないので、自分が言った意見に固執することになりがちです。
それを防ぐためにも、意見を書き出して、目に見える形にします。

「意見を書き出すときの留意点」
言葉は簡潔にわかりやすく。見やすさも配慮を。
体言止めより「動詞」など言葉に動きを。「形容詞」も。(テキストより)

1枚のポストイットには,1つの意見を書きます。
さらに「発言のくくり」を行い,論点を明確にします。
まず,内容が似たものを集めて「くくりシート」(*)に貼り,「くくりの言葉」=標題をつけます。ここで大事なことは,無理にまとめようとしないで,1枚だけのポストイット(=意見)も「一匹狼」としてどんどん存在させることです。
「くくりの言葉」は発言の内容から飛躍しないように,発言のキーワードを集めて、「良いとこ取り方式」でつくります。また,「できるだけ体言止めにせず,読んで内容がわかる言葉」にします。
20140208_001636
(*)石塚計画デザイン事務所特製「くくりシート」
発言をうまくまとめるために、特製の「くくりシート」が作成されています。
この「くくりシート」を使えば、意見の書かれたポストイットを、事前に、内容ごとにある程度まとめてから,模造紙に貼ることができます。
DSC00974
ポストイットにはサインペンで書き、見出しはマーカーで書きました。
マーカーの「【基本】線の引き方」
長辺が水平になるように持つと見やすい字に
ペンの向きは固定して動かさない→早く書ける
美しくなくてもよいので、見やすい大きな字で
文字に使う色は紫、青、緑、
黄色、赤、オレンジは強調に(テキストより)
このように具体的にマーカーの使い方を習いました。

休憩を挟んで、「ワークショップの企画運営5つのポイント」を勉強しました。
1.目的と成果の活かし方を明確に
2.参加して欲しい人に参加してもらう
3.誰もが話せる話し合いの入り口
4.達成感のある目に見える成果を
5.参加者以外への情報発信も大切 (テキストより)

ワークショップを始める前に、なんのためにやるのか、そしてその成果の活かし方、期待する波及効果を確認します。予定調和的、誘導的な議論ではなく、創発的な議論をめざします。ただし、議論のシミュレーションを事前にしておくのは有効。
どんな人たちに参加して欲しいか。課題を抱えている当事者の声を聞きたいのか、担い手を育成したいのか。また、誰でもできるだけ多くの人に参加して欲しいのか、既存の組織との合意形成が目的なのか。どうしたら,趣旨にかなった参加者を集められるかを考えます。
また、議論の入り口は誰でも話せるテーマで。例えば、プラス要素=○○の自慢は?やマイナス要素=どんなことで困っている?(プラス・マイナス型)、最近感動した体験は?(自己体験型)、心に残る思い出は?(思い出型)、わたしなら,こんなことができる(モチベーション型)など。
そして、ポストイットを貼った模造紙だけでなく、議論の成果のかたちを工夫。
さらに、参加者以外の人たちを取り込む工夫も。
なかなか難しいですね。

次は、いよいよ3人ワークショップの演習です。
DSC00982
「簡単!3人ワークショップ」
普通ワークショップはファシリテーターの力量に左右され、参加人数もファシリテーターの人数次第になります。そこで石塚先生が、ファシリテーターなしでもできるワークショップとして3人ワークショップを考案されました。

3人ワークショップのテーマは「美しが丘公園で拠点づくりを実現させるために、考えなければいけない課題とは何か?」「拠点づくりに多くの住民や応援団をまきこむには何をすればいいかを考えよう!」の2つ。
1.自己紹介
2.各自3~5枚に意見を書き出す
3.意見発表し似た意見を「くくりシート」に貼る
4.「くくりシート」に標題を記入する
5.皆で「くくりシート」の内容を確認する
という手順で行いました。
DSC00985
DSC00988
DSC00993
20140207_212903
20140207_212952
最後に、グループごとに発表し、後ろの壁に貼ってある模造紙に「くくりシート」
を貼り、さらに同じような内容の「くくりシート」を集めてタイトルをつけ,論点を明確にしていきました。その後、一人一人に配られた丸シールを気に入った意見や「くくり」に貼りました。この過程を通して、大きな論点と皆さんがどこに関心を持っているか、どの点が重要と思っているかが浮き彫りにされました。
予定の3時間を30分ほどオーバーして終了しました。
DSC01001
参加者からは「とても勉強になりました、ぜひ、これからも続けて欲しい」
「分かりやすいワークショップで、アイデアや、意見のまとめ方は特に参考になりました」など大好評でした。石塚先生ありがとうございました。
そして、また、ぜひ、続きをお願いします。(写真/立山徹)

(株)石塚計画デザイン事務所 http://www.community-design.jp/

美しが丘中学校で
プレゼンの出張授業。

20140203_224634
1月30日(木),美しが丘中学校3年生の社会科授業で,伝える力を学ぶ「プレゼンテーション」の出張授業が行われました。講師は次世代郊外まちづくりで住民創発プロジェクト各グループの相談役をつとめる石塚計画デザイン事務所東京事務所長の千葉晋也さんです。3年生は今年度,社会科公民的分野で次世代郊外まちづくりを学習中。いよいよ3月7日の発表会(11時~たまプラーザテラス2F・プラーザホール)に向けて,想いを伝えるプレゼンの話し方と模造紙の書き方を勉強しました。
20140130_161523
相手(聞き手)に想いを伝えるには,気にしてもらう(印象づける),好きになってもらう,つまり「両思いの関係づくり」が大事。ということは,プレゼンはラブレターを書くのと同じことなんです,と千葉さん。
美中プレゼン授業テキスト
まず,3人1組になって1分間で想いを伝えます。でも,1分間で全部を話すのは無理。ここで大事なのは,まず,相手が「なんだろう?」と思う「ツカミ」。そして聞き手に「気になる」「もっと聞いてみたい」気持ちが残るような話をすること。服装や身振りも印象づくりに役立ちます。ちなみに千葉先生は,白いフレームのメガネで美中生の印象に残る先生を演出されています。
20140203_224422
「伝わる模造紙のデザイン」の勉強では,実際にマーカーで中抜き文字や立体文字を書いてみました。
短い時間にプレゼンのポイントをぎゅっと凝縮した内容でしたが,とてもわかりやすく,3年生も次回からはいよいよ発表会の準備に入るとあって,熱心に聞き入り,難しい1分間プレゼンも,皆,案外楽しそうにこなしていました。3月7日,中学生たちがどんなまちづくりのアイデアを「プレゼン」してくれるか,話しぶりや模造紙がとても楽しみになってきました。

第2回講評会開催。
新たに10プロジェクトが
住民創発プロジェクト認定へ。

講評会写真
「住民創発プロジェクト-シビックプライド・プロジェクト-」第2回講評会が,1月18日,たまプラーザテラス・プラーザホールで開催されました。
前回の講評会で,学びの活動支援をうけることが決定した団体のうち,合併も含めて15団体17プロジェクトが応募し,熱のこもったプレゼンテーションと,その後の長時間にわたる審査の結果,新たに9団体による10プロジェクトが「次世代郊外まちづくり住民創発プロジェクト」として認定されました。(写真/大野承)
写真B
プレゼンの時間は7分間。そのあと講評委員より厳しい質問が。

新しい認定団体は下記のとおり。(プレゼン順)
( )内は企画テーマと支援金額です。

■AOBA+ART2014実行委員会
(AOBA+ART2014展(仮) 0円)
■あおばフレンズ
(ポスティングで健康増進とおこづかい稼ぎ,そして緩やかな見守りを 20万円)
■美しが丘Diamonds
(学校を拠点とする地域住民交流の促進 10万円)
■オールたまプラーザの健康・コミュニティづくり
(オールたまプラーザの健康・コミュニティづくり 25万円)
■「たまプ楽食」プロジェクト
(現代・たまプラ版 「御用聞き」の実施 5万円)
■たまプラフレンズ
(住民主導型ネットワーク「たまプラnetwork」 20万円)
■特定非営利活動法人森ノオト
(シビックメディア『たまプラびと図鑑』 0円)
■Loco-working協議会たまプラプロジェクトチーム
(たまプラで暮らし,働く-ロコワーキング- 15万円)
■特定非営利活動法人森ノオト
(たまプラーザ 電力プロジェクト 30万円)
■たまプラ油田開発プロジェクト
(シビックプライドを育むコンパクトな資源循環型コミュニティを試みる 20万円)

次世代郊外まちづくり
平成25年 年末交流会開催!

IMG_0061x600
平成25年12月21日(土),次世代郊外まちづくりの年末交流会が美しが丘中部自治会館で開催されました。(たまプラnetwork主催)
この日は,第2回講評会にむけて実施計画書を提出する締切の翌日。住民創発プロジェクトや提出を終えてほっとする学びの活動から15グループ24名,また,東急電鉄,石塚計画デザイン事務所,地域計画連合からも出席があり,計31名が集まりました。
大野承さんの司会で,今年(平成25年)の一大ニュースや来年の夢,持ち寄りの一品の説明など出席者一人一人がスピーチし,最後は,蒲田健さん,高橋陽子さんのハイテンションな進行のジャンケンゲームで,交流会は大いに盛り上がりました。
(撮影/大野承 ・立山徹 スライドショー編集/立山徹)

グループ名、会社名は略称にさせていただきました。

世田谷トラストまちづくり
「地域共生のいえ」見学レポート

20140107_104841
■地域共生のいえ
まちのお茶の間 「岡さんのいえ」と
ちいきの共働スペース「COS下北沢」を見学しました。

たまプラnetworkでは,昨年12月11日,「世田谷トラストまちづくり(注1)地域共生のいえ」の見学会を行い,たまプラnetworkと交流の森から4人が参加しました。遅くなりましたが,その見学レポートです。
「地域共生のいえ」は,オーナーの意思によって,地域の絆を育むまちづくり活動の場として提供された私有の建物--例えば,子供たちの居場所や子育て支援の場,高齢者や障がい者の暮らしを支える場,地域交流の場などとして提供された家や建物--のことです。財団法人「世田谷トラストまちづくり」が,立ち上げや運営の支援をします。
現在は世田谷区内に13ヵ所あり,それぞれ「お年寄りの心の拠り所」や「インターネット古書店」,「木漏れ日のギャラリー」,「囲碁を通じた集いの場」などのキャッチフレーズを付け,さまざまなスタイルで開かれています。
今回はその中から、地域の人たちが多世代で繋がる拠点をめざす「まちのお茶の間/岡さんのいえTOMO」(上北沢3丁目)と地域貢献型建物として建てられた「ちいきの『元気』を育てる発信基地・ちいきの共働スペース/COS下北沢」(北沢2丁目)を見学しました。

岡さんのいえ
■「岡さんのいえ」は昭和の住まい
京王線上北沢駅の南口を出て徒歩5分。「岡さんのいえ」は昭和24年頃に建てられた築60年を超える家で,上北沢の住宅地の一角にありました。この家に住んでいた岡さんは,明治40年生まれ。仙台出身の敬虔なクリスチャンの女性で,長く女学校で英語を教え,戦後は外務省で働く一方,同居するもう一人の女性(諌山さん)が子供たちに英語とピアノを教え,岡さん自身も休日には,子供たちに英語を教えたり聖書を読んであげたりしていました。岡さんは退職後も昭和50年頃まで,諌山さんとともに教室を続け,地域の子供たちを温かく見守っていました。岡さんが平成18年に亡くなったあと,「地元の皆さんが使える場所に」との岡さんの願いもあり,翌19年(2007年),地域共生のいえ「岡さんのいえTOMO」が誕生しました。
家には古いオルガンとピアノがあり,たたみに座り、ちゃぶ台を囲んでお茶やおしゃべりを楽しむ「昭和の住まい」のかたちがそのまま残されています。また,小さな庭には,モクレンやヤマブキ,ムクゲなど,四季折々に花を咲かせる木が植えられています。

岡のいえ2
■「開いてるデーカフェ」
「岡さんのいえ」では,毎週1回水曜日に「開いてるデーカフェ」が開店します。私たちも早速カステラや今日のマフィン(ツナ&ポテト)とコーヒーやカフェオレを注文(300円)。
写真左手前は,「岡さんのいえTOMO」編「まち・探検!マップ付き 上北沢いま・むかし」の小冊子です。いま=平成23年と,むかし=昭和20年代・30年代のあそび場とお買い物の様子を地元の人に取材してまとめています。また,昭和50年代,60年代のあそび場やビー玉やメンコの昔遊びの思い出が,まちの人たちやスタッフによって語られています。
この冊子は「まちのお茶の間」をめざす「岡さんのいえTOMO」のスタッフが,上北沢のまちのことをもっと知ろうと「岡さんちからまちに飛び出し」,町会長さんや商店街の人たちなど「色々な人に出会い,まちの色々なことを教えて」もらって,つくったものです。

■「岡さんの家だから・・・を大事にしたいんです」(見守り隊員・額谷さん)
この日,私たちを迎えてくれた見守り隊員(運営スタッフ)の額谷(ぬかたに)さん。いろいろお話を聞きました。現在,見守り隊員は15名程度とのこと。
「岡さんのいえTOMO」は,毎週水曜に開かれます。その時「開いてるデーカフェ」や「駄菓子屋」が開店。近所の子供たちや子連れのママたちが集まります。子供たちは家の中でゲームをしたり,庭で遊んだり。
このほかに,定期,不定期にいろいろなイベントがあります。「岡さんの特別レシピ再現カフェ」(毎月1回)では,岡さんが遺した手書きのレシピ・ノートをもとに,アップルパイやブラウニー,焼きかぼちゃのプリンパイ,チーズビスケットなどを再現。再現するのは「岡さんのいえ」の利用者で「夜カフェ」を開いているパティシエです。
外務省に勤務し,クリスチャンとして教会にもつながりの深かった岡さんは,当時としては珍しい西洋菓子や料理のレシピをたくさんノートに書き留めていたようです。
また,月1回金曜の夜には「食飲会」があります。大人たちがお酒や食べ物を持ち寄って集う地域の飲み会です。
インターンシップの大学生たちが子供たち向けのワークショップを企画したり,見守り隊員が上北沢小学校に出張授業に行き,小学校との交流も始まりました。
そのほか,雛まつりや七夕まつり,クリスマス会,古いオルガンで岡さんが遺した楽譜から選曲して演奏する「お茶の間コンサート」や中学生がお裁縫をする「チクチクカフェ」,世田谷美術館の子どもワークショップ「岡さんのいえで映画をつくろう!」など,さまざまなイベントがこれまで行われてきました。
レンタルスペースとして部屋貸しもしていて,12月はベビーマッサージやキッズ英語, ハワイ語講座などが利用していました。

20140107_111304
■表紙のイラストが素敵な「岡さんのいえTOMOしんぶん」
年2回発行。

20131230_130816
■この日,来ていた明治大学の学生さんたち
2年生でボランティア講座をとっている,けいきくん,かなちゃん,じゅんちゃんの3人組。子供たちのオセロの相手をしていました。

■「岡さんのいえ」は「おばあちゃんの家」
「岡さんのいえTOMO」の見守り隊員(運営スタッフ)には,子供の頃,岡先生に英語を習い,今は地元自治会の防災部長をやっています,という男性や大手ディスプレイデザイン会社に勤めていました,というイラストの名手,大学院で都市計画・まちづくりを研究中の女性など,多士済々。学生から70代まで世代もいろいろです。
この日お話をうかがった額谷さんは30代で,もともとはレンタルスペースの借り手で1日カフェをしに来たのが,岡さんの親族で,現在のオーナーの小池さんに声をかけられ,岡さんの家や小池さんの人柄に惹きつけられて,とうとう運営スタッフになってしまったのだそう。
「岡さんのいえTOMO」は,古い家のつくりに「おばあちゃんの家」に遊びに行ったような不思議な安心感があり,地域の大人や子供が気軽に集える場になっていることも,なるほどと頷けました。
運営スタッフの皆さんは,岡さんがここで暮らしていたことや岡さんの子供たちへの思い,子供たちがピアノや英語,聖書などを通していつもここに集まっていたこと,そして岡さんが生きていた昭和の時代を大切にして,地域の人たちが多世代で繋がる拠点をめざしています。

■悩みはボランティア不足
「この1,2年は,レンタルスペースの利用料金で,ようやく岡さんの家の固定資産税が払えるようになりました。また,イベント開催などは,行政の助成金を利用してできる場合があり,それでなんとかやれますが,見守り隊員の人件費はどこからも出ません。隊員のなかには埼玉から来ている人もいるので,せめて交通費だけでも出せたら,と思うのですが」と額田にさんは言います。「今は週に1日だけのオープンですが,本当なら土日のどちらかは開けたいし,部屋貸しももっと稼働率を上げたいのですが,それには鍵を管理するためにもボランティアが出てこないといけない。となると,活動できるボランティアが現状では足りません」
やはり無償の活動には限界があります。でも,皆さん「岡さんのいえTOMO」を大切に思い,見守り隊員のそれぞれがいろいろな思いを持って,上北沢のまちや人,子供たちと絆を深めながら,次々と新しい魅力的な企画をたてて活動を続けています。

20131223_154519
■「ちいきの『元気』を育てる発信基地,ちいきの共働スペース/COS下北沢」
上北沢の駅にもどり,また京王線に乗って明大前で井の頭線に乗り換え,下北沢へ。西口から出て迷いつつ徒歩10分。商店街を通り抜け,住宅街をウロウロ。

20131230_133819
■途中にあったこの標識に助けられて,ようやくたどり着きました。

DSC00762
■これがCOS下北沢の正面入口。
COS(co-operative space)下北沢は,平成16年(2004年)に,約2年の話し合いを経て,オープン,今年10年目を迎えます。
この建物は,もともと築30年の木造2階建てのアパートでしたが,老朽化による建て替えの際,オーナーは「社会や地域に役立つ建物にしたい」と考え,建物を長期的に運営する団体をさがすことになりました。そして,平成13年(2001年)12月,この話が,土地建物の活用や家づくりをサポートするNPO法人SAHS(サース)(注2)に来たところから,COS下北沢は始まります。
オーナーは学生時代を下北沢で過ごし,現在は名古屋で高齢者福祉施設を経営されています。

20131223_154547
■6団体が入居してCOS下北沢を運営
SAHS(サース)の呼びかけで7団体が名乗りを上げ,翌平成14年(2002年)7月には「COS下北沢をつくる会」が立ち上がりました。結局,一時預かり保育の団体,レンタルギャラリー,まちづくり活動支援団体,手作り惣菜宅配の団体,カフェと建築事務所の6団体の入居が決まり(現在カフェは閉店),「つくる会」立ち上げからほぼ1年半後の平成15年(2003年)12月には,COS下北沢の運営を担うNPO法人コスファCOSFA(co-operative space for all )が設立されました。
一棟一括借り上げを希望するオーナーとの契約のためにも,法人格が必要でした。コスファは入居の6団体からそれぞれ1名以上の理事を選出して組織されています。また,事務局は入居団体のひとつ,まちづくり活動支援団体(まちづくり広場ザワーズ)が請け負うかたちです。

■資金集めは?
COS下北沢の建設費用は約5000万円。当初,オーナーはこの土地を定期借地とし,事業者が建設することを望んでいましたが,資金を入居団体や地域で集めることは厳しいと判断し,結局自身で資金を調達。その代わりコスファも2割相当の1000万円の基金(保証金)を集めて提供し,20年後の契約終了時に返還されることになりました。
1000万円といえども大変ですが,コスファは,これをほぼ1年間で集めます。出資件数は80件。1件あたり100万円から2000円まで。
「夢に投資しませんか(20年後に利子はつきませんが,お返しします。)」というような呼びかけでしたが,振り返ってみれば,呼びかけた人たちの日頃の活動への信頼感が大きかったことが力になった,とのこと。
そして,平成16年(2004年)9月,ついにオープンの日を迎えました。

DSC00764
■大変だけど,いろんな人との出会いが楽しい。(事務局の相馬さん)
この日,お話を聞いた事務局の相馬さんは,「地鎮祭ぐらいから」COS下北沢にかかわり,事務局の仕事をされています。
相馬さんは,入居団体のひとつ,まちづくり活動支援団体「まちづくり広場ザワーズ」のメンバーで,事務局は「ザワーズ」がコスファ(=COS下北沢)から請け負い,同時に地域の人たちとCOS下北沢をつなぐ役割も果たしています。
入居の個々の団体はそれぞれに活動していますが,COS下北沢の運営自体は,おもに1Fホールの利用料金などでまかなわれています。
平成23年,24年とホールのカフェや床などの整備が行われたのに続いて,昨年は2つの支援制度の助成金(世田谷トラストまちづくり,セブンイレブン記念財団)を使って,建物正面の植栽脇に「地域のベンチ」をつくり,近隣と連携して緑を増やす活動を開始しました。現在閉店している1Fのカフェについても、あり方を含め,再開を検討中のようです。
次の10年にむけて,地域の発信基地,「ちいきの共働スペース」としてのCOS下北沢の活動がさらに期待されています。

DSC00768
■1Fホールで,事務局の相馬さんのお話を聞きました。
20131230_130857
■1Fホールのレンタルスペース
イベントや教室,講演会などに利用されています。
これまでの利用団体は,老化防止体操,麻雀,裁縫,マップづくり,ニットカフェ,ボタニカルアートなどさまざま。

DSC00774
■1F レンタルギャラリー

DSC00779
■1F 一時預かり保育ルーム

DSC00772
■2F 手作り惣菜宅配 (週2回) のキッチン

DSC00775
■最後に相馬さんと記念撮影
左から藤本さん,相馬さん,辺見,千葉さん

岡さんのいえTOMO http://www.okasannoie.com/

COS下北沢 http://cosfa.main.jp/

(注1) 一般財団法人 世田谷トラストまちづくり http://www.setagayatm.or.jp/

(注2) NPO法人SAHS(サース)
=「特定非営利活動法人せたがやオルタナティブハウジングサポート」
 http://www.npo-sahs.com/

(写真 立山徹・辺見真智子)
 トップに戻る   

まちづくりWho’s who vol.3
秋元康幸さん(横浜市建築局)
いろんな人が絡んでくることが,
街の面白さの重要な要素です。

DSC00697
秋元康幸さんロングインタビュー もくじ
■「みなとみらい21」から「都市デザイン」,「創造都市」そして「たまプラ」へ
■アーティストたちが面白いことを発想して,街の人たちを巻き込んでいく。
■AOBA+ARTのこと,フラッシュモブのこと
■事業化するには,もうワンステップ成長しないと,アイデア倒れになる。
■中間支援組織としての「3丁目カフェ」
■湘南育ちです。

■「みなとみらい21」から「都市デザイン」,「創造都市」そして「たまプラ」へ

私は昭和58年頃から「みなとみらい21」の仕事をしているんですが,その頃は造船所の建物の撤去が進み、まだ埋め立てが全然できていなくて,なんにもなかった時代です。着工式とかやっていた時代ですので。20代のころです。その後,都市デザイン室で景観行政をやったり,創造都市推進部でアーティスト,クリエーターたちとおつきあいしたり,これまでの半分ぐらいは横浜都心部のまちづくりの仕事をしてきました。
残りの半分弱ぐらいは郊外部の市民参加的な仕事です。都市計画局の市民参加推進プロジェクト,これは高秀市長の時なんですが,市民参加をどうやるべきか,直接いろんな市民の方と議論をして仕事をやってきたという経験もあります。
そういった意味では,今回のたまプラーザのケースは,私としては,違和感なくやっています。
都市デザイン室の仕事は,どちらかというとハードな,建物の形や景観を重視して美しい街を作ろう,というようなことが中心ですね。赤レンガ倉庫などの歴史的建造物を大事に残していこうという仕事や,伊勢佐木町や元町の商店街を整備していこうとか,人が歩きやすい街にしようとか,そういったことを都市デザイン室が中心になってやってきました。あと水辺の空間や緑を大切にしていくとかですね。
その次にやった創造都市推進部の仕事は,都市デザインのハードなまちづくりに対して,もう少しソフト的なことをやりましょう,というような仕事です。人と人とがどうやってコミュニケーションを作っていくか・・・アーティスト,クリエーターたちと街の人たちと交流してもらう。そうすると,いろんな議論が発生してくるんですよね。
新しい面白いことを彼らが考えてくれますので,街の人たちと一緒になって,そういった面白いことを実現していこう,そういうことを通して,活性化した街を作っていこう,というのが創造都市の仕事なんです。
横浜ならではの歴史的建造物や古い建物を使ってアートスペースやクリエイティブな拠点をつくるとか,その延長線上で,アーティスト,クリエーターたちに横浜に住んでもらうとかね,そういった仕事をしていました。
また,創造都市として,もうひとつの大きな仕事は,「横浜トリエンナーレ」です。トリエンナーレは3年に一度という意味なんですが,前回,2011年の第4回展の事務局長は私がやりました。こういった現代アートで街を作っていこうというような仕事は,この創造都市の時にかなりやっていました。
トップに戻る
DSC00736

■アーティストたちが面白いことを発想して,街の人たちを巻き込んでいく。

(次世代郊外まちづくりの)AOBA+ARTさんも,そういう意味で,現代アートで少し街を変えていけないか,ということで頑張ってやられていますよね。ああいうことをうまく都心部で展開できないか,というのが創造都市の事業で,文化・芸術で都心部を活性化させようという,AOBA+ARTのもうちょっと大規模なものを都心部でやっていこう,という事業だったんです。
現代アートの中で,街の人たちと一緒に作っていくアート―コミュニティアートと言われる分野があるんですが,こういう分野のアーティストの人たちは,街との相性がいいですよね。
横浜市では,そういったアーティストの方たちを呼び寄せて「アートを通したまちづくり」をしようということで,ヨコハマ創造都市センター(YCC)を中心に活動を行っています。今年,私たちの後輩たちが,「創造都市横浜アーティスト・クリエーターリスト2013」というのを作りました。
10年ぐらいこういった創造都市の事業をやって,これだけの数のアーティスト,クリエーターたちが横浜都心部で働いてくれているということなんです。いろんな面白い人たちが横浜の都心部で住み始めている,働き始めているってことですね。
やはりそういう人たちがいると街が変わってくるんですよね。AOBA+ARTも彼らがいろんな面白いことを発想して街の人たちを巻き込んで,それでやっていこうという動きを作っています。
そういった動きが一番街を活性化させていくんじゃないかなと思います。
トップに戻る
DSC00720

■AOBA+ARTのこと,フラッシュモブのこと

(AOBA+ARTのことは)・・・期待していますね(笑) とくに青葉食堂はすごく面白い仕掛けだと思います。ああいう新しい発想が出てくると,街は面白くなりますよね。
(注:「青葉食堂」 黒板型作品に今晩のメニューを記載して門扉などに掲示してもらう参加型コミュニティアートプロジェクト。11月に協力住宅を回って黒板の献立をおすそわけしていただく「青葉食堂~わたしのお庭で会いましょうツアー」を開催した。)
結局,街というのは,住んでいる人だけが何かやろうとして一生懸命考えても,なかなか発想が展開しないんですね。
AOBA+ARTもそうですが,外から来ている人,アーティスト,クリエーターの人たちは,外から見ていますので,そこでたまプラでこういうことをやったら面白いかな,みたいなアイデアが出てきて,それと食事を作るお母さん方が組み合わさった時に,面白い仕掛けができるんですよね。
そこの仕掛けづくりみたいなものの「場」を行政やまちづくりをやっている人がどうやって作れるか,ということが郊外のまちづくりの中でもで非常に大事なことかな,という感じがします。
住んでいる人だけだとどうしてもね,なかなかこういった交流のきっかけができないんですけど,ちょっとアーティストが入ってくることによって,それができるんですね。
「フラッシュモブ」もそうじゃないですか。松田さんというアートプランナーの方が,たまプラ大学でフラッシュモブを紹介されて,カプリオール(ダブルダッチのプロチーム)やクリエーターの人たちが地元の人たちのアイデアをいかしながら力を貸して,それで地元のいろんなことも組み合わせながら,面白くやっていきましょうよ,ということを呼びかけたわけでしょ。すると,そこにいろんな議論が出て,そして面白い仕掛けが出てくるってことなんですよね。
いろんな人が絡んでくることが,街の面白さの重要な要素だと僕は思うんです。
今回は東急電鉄さんが入ってくるし,外部のいろんなアイデアを持った人たちが入ってくる。そして当然,地元の人たち。地元の人たちも住んでいる人たちとか商店街の人たちとかいろんな方たちがいます。その人たちが議論をすることによって,アイデアが出てきて,それをなんとか実現させようっていう意志が出てくると,街っていうのは,ものすごく面白くなるんです。で,どんどん活性化されて,その中で,多分,街の課題のようなものも,なんとかみんなで克服していこうっていう動きにつながっていくと思うんですね。
フラッシュモブみたいな,ああいういろんな立場の人の交流というのは,街という中では,一番大事な要素だな,と思っています。そういった意味でフラッシュモブは非常に面白い試みでしたね。いろいろ工夫して、今後の展開につなげてほしいですね。
トップに戻る
DSC00711
 

■事業化するには,もうワンステップ成長しないと,アイデア倒れになる。

来年度については,やり方を今考えているんですが・・・新しいものというよりは,今いろいろ出ているプロジェクトをフォローさせてもらったほうがいいかな,と考えています。いろいろな活動がありますので,同じような活動をマッチングしたり,お互いに議論していただくとか。
アイデアだけ出して終わってしまったのでは,しょうがないんで,その中でもいくつか実現していく方向でやっていかなければいけないと思っています。
事業にしていくには,もうワンステップ成長しないとできないんですよね。アイデアは誰でも出せるんですが,それを事業化するには,まず体制をどうするか,とか,お金をその中でどうやって回せるか,とか,いろんな意味でシステムとして回していかないと事業になっていかないので,もうワンステップ上っていただかないと,ダメなんですよね。
そのための知恵をどこかから吸収する。または先行的に活動されている方とか,NPOで事業としてちゃんと回している方の話を聞く。どういう課題があって,じゃあどういうことをやれば動くのか。それを勉強していくってことをしていかないと,アイデア倒れに終わってしまいますよね。
そのことは,いろんな形で支援させていただきたいと思っています。どんな形がいいのか,いろいろ考えているんですが。ただ単に同じようなことを考えているグループだからといってマッチングさせても,じゃあ一緒になりましょうとはならない時も結構あります。グループの相性みたいなものもあるし。
かといって自分たちだけではできないんで,少し横つなぎの緩いネットワーク,このたまプラnetworkもそうなんですけどね,いろんな情報が入ってきて,あそこではこういうことでうまくやってるよ,とかね,ここではちょっと止まってるみたいだな,というような情報のネットワークも必要でしょうね。
トップに戻る

■中間支援組織としての「3丁目カフェ」

専門的には,中間支援組織と言っているんですが,東浦さん(東急電鉄)はまちづくり株式会社とか第4セクターとか言われていますけど,そういったものをなんとかうまく作っていかないとダメですよね。そういう力のあるグループをうまく育てていかないと。そこがいろんな相談にのるとか,情報をつなぐとかするわけですね。
住民創発の事業というのは,急激にポーンと今年アイデアを出して,来年勉強して,再来年事業化して・・・トントントンとうまくいく場合もありますが,そううまくいかないこともあるんですよ。アイデアとして何年か温めていて,そこにたまたま新しいアイデアを持った人が入ってきて,パーっと花開く場合もあります。
それは,いろんな人と人との出会いとか,タイミングとかがあるんで,それをうまくつないでいけるような緩い組織が必要なんじゃないかな,と私は思っています。
こういう情報のネットワークもひとつそういう役割があると思いますし,あと場所的にもね,人が集まって情報交換できるような場が必要かもしれません。それは多分たまプラで独自に作っていかないといけないかなと思います。
自然と人が集まってくれるような場所。カフェなんかも本来そういうような場所としてあるべきなんですね。
「3丁目カフェ」(次世代郊外まちづくり住民創発プロジェクト)のようなコミュニティカフェになると,そこでお茶を出す人を中心にして情報が回るような仕組みができる。その人がいろんな人の情報を聞いて,必要な人にまた流すということができます。そういった拠点ができてくるとかなり面白いことができるかなという感じがしますよね。
たまプラらしい拠点をどうやって作っていくか,これからの皆さんの工夫次第ですが,その工夫はなにか考えないといけないかな,と思っています。
横浜市の創造都市の場合は,「創造界隈拠点」として「BankART」というのがあります。NPOにお願いして作ってもらっている拠点です。そこにカフェがあって,横浜市はあんまりお金出していないんで,NPOの人だけじゃなくて,アーティストがカウンターに入ってお茶を出していますよ。だから,そこに行けば,アーティストとかクリエーター関係の人がお茶を飲みながら,いつでもお話ができる状況になっているんですね。
拠点というのは,たまプラ大学で延藤先生がおっしゃっていましたが,主(あるじ)と場所なんですね。要するに人と場所なんですよね。両方がそろわないとうまくいかないんです。そこにちゃんと中心になる人がいるとうまく情報が流れて,発展していくんです。たまプラの場合,どういう場所でどういう人が中心になったらいいのか,というのは皆さんで議論して作り出していかないといけない。
たまプラには,そういう中心になる人たちがいるので,ものすごく可能性がある地区だと思うんですね。
また,外の人が入ってきたいっていう魅力を持っているんです。それはすごく大事だと思いますよ。
これから,たまプラでしかできない仕組みを作っていくってことですね。
まちづくりは,急に作るよりは,時間をかけながらじっくり作っていったほうが私はいいと思いますよ。役所は異動があるんですが,私は万が一異動しても,たまプラの人たちとずっとおつきあいさせていただきたいと思っていますので(笑)
トップに戻る
DSC00710

■湘南育ちです。

私は,藤沢の湘南近辺で育ちました。うちの父親は戸塚の出身で,母親が藤沢で,横浜市と藤沢市と隣町みたいなものですよね。
(サーフィンとかは)いや全然(笑)湘南のくせに運動があんまり得意じゃないんで(笑)
絵を描くのは好きでしたけど。うちの兄貴が大学に進んで,建築学科っていうのは面白そうだぞって言われて。そんな軽いノリで建築に来てしまったんです。美術が得意だったこともありましたけど。早稲田の建築学科の入試にはデッサンがあるんですよ。わりとそういうのは得意でした。大学に入ったら,私よりもっと絵がうまいやつがいっぱいいるので,そっちはとてもかなわないな,と思いましたけどね(笑)
学生時代は・・・旅行は好きだったので,あっちこっち行きましたけど,それ以外は大学近辺で麻雀とか,遊んでいましたね(笑)
今でも旅行は好きなんで,わりとしょっちゅうあっちこっち出かけています。
最近は日本ばかりですね。海外によく行っていた時期もあるんですが。かみさんが生きていたころは,二人で海外に旅行に行っていました。今は海外は,ちょっと億劫になってきて。国内旅行はしていますけどね。
はい,残念ながら一人暮らしです。料理はもうしないですね。かみさんが最後は病気だったんですが,病気になった時は料理せざるを得なかったので,その時はやりましたけど,一人になるともうしなくなりますね。
今は石川町(横浜市中区)に住んでいます。以前は,かみさんの仕事の都合で東京に住んでいたんですよ。もう東京に住む理由もないので,そしたら職場に近いほうがいいかな,と。
さすがにペットはいないんですが,かみさんが遺した観葉植物の世話が結構大変なんです。いっぱいあってね。1週間に1回ぐらい水をやって。やりすぎてもいけないし,難しいんですよね。なんとか枯らさないようにしてるんです。なんか怒られそうな気がして(笑)
(写真/立山徹 構成/辺見真智子)

秋元康幸(あきもと やすゆき)さん/1958年生まれ みずがめ座
横浜市 建築局 企画部長
横浜市中区在住 独身(!)
 トップに戻る              

情報の共有と発信をめざして・・・Facebook勉強会を開催しました。

11月24日(日) 次世代郊外まちづくりのプロジェクトグループを対象に,たまプラnetwork「Facebook勉強会」を開催しました。
内部での情報共有と外部への情報発信のための実践講座です。
20131124_202023
今回の勉強会のために作成されたテキストです。①基本の確認(プロフィール設定,プライバシー設定やセキュリティなど) ②FBを使いこなす(メッセージ,タグ,フォロー,イベントなど) ③情報共有しよう! 実際にグループをつくる(グループ名,メンバー,プライバシー設定など)というところまで,なんとかできました。④の情報発信しよう! FBページをつくる・・・は残念ながら時間切れで,次の機会に。
丁寧な指導で参加者は大満足。次回開催が待たれる,たまプラnetworkの人気講座になる予感が・・・。
s-DSC00725
イッツコムから提供いただいたタブレットを使用して,真剣に「勉強」。
s-DSC00728
講師の加藤さんがひとりひとり丁寧に教えてくださいました。
s-DSC00731
タブレットを持ってこられたイッツコムの松本さんも,見かねて指導。
20131124_201950
講師は,オープンイノベーションラボ 交流の森プロジェクトチーム,
株式会社ニューロマジックの美女ふたり,中村さんと加藤さん。
右端は企画した藤本さん。

まちづくりWho’s who vol.2
東浦亮典さん(東急電鉄)
未開の地を切り拓くのが面白い。

DSC00624

東浦亮典さんロングインタビュー もくじ
■今回,私がすごく気をつけたところ 
■「言い訳のためのワークショップだとみんな怒り出しますよ」
■開発し終わった街にもう1回かかわるというのは,やったことがなかった。
■横浜市とイコールパートナーは画期的なこと
■建築局がハブ機能を担ってくれて・・・
■「まちづくり株式会社」ができれば,もっとうまくつながる。
■「まちづくり会社」は横浜市・東急・住民出資の第4セクター?
■「たまプラーザ地区でかかる植栽管理コストを住民にください!」
■30代のとき,南町田グランベリーモールを企画しました。
■子どものころのニックネームは「Jack Amano氏」?
■未開の地を切り拓くのが面白い。

■今回,私がすごく気をつけたところ

開発事業をやっていると,最悪の場合は反対運動が立ち上がって,のぼり旗が立ったりとか,・・・そんなことがわりと普通に起きるんですね。それはなぜかと言うと,やっぱり,ある計画を一定期間でまとめあげなくてはいけない,ということで,本当は住民の方々とのコミュニケーションをもっと丁寧に丁寧にやっていったほうがいいのに,若干はしょってしまうケースがあるんですよね。
我々もそういう経験をいっぱいしてきていて,今回私が次世代郊外まちづくりを横浜市さんと一緒にやっていくなかでは,そこはすごく気をつけたところです。
とくに,ひとつのマンションとかビルではなくて,こういう大きなまちづくりになると,どうしても住民の方々は,関心はあっても,あまりにも物事の規模が大きすぎて,一人一人では何もできないんじゃないか,という思いから,行政任せとか,企業任せになりがちなんですね。
でも,我々としては最初から産・官・学・民連携で,このプロジェクトやろうと思っていましたので,とにかく住民の方々になるべく多くかかわっていただいて,我が事として主体的にやっていただくことを志向していきたいなと思っていました。
昨年7月のキックオフフォーラムからワークショップ,そして,たまプラ大学と,とくに去年の秋から今年の春ごろまで,皆さんとってもお忙しかったですよね(笑)
我々としてはそれだけ密に,我々の考えていることや,皆さんにやっていただきたいこと,一緒に議論したいことを,どんどんテーブルの上に投げて,やらせていただいた。
これはまさに住民の方々とのコミュニケーションを密に,という気持ちからなんですね。
トップに戻る
DSC00630

■「言い訳のためのワークショップだとみんな怒り出しますよ」

横浜市さんも同じで,行政サービスをしていくなかで,いろいろなクレームをいただくわけですよね。そういう意味では,最初こんなに濃密に住民に皆さんの前に出て行って,まちづくりのことをお話ししたり,議論したりするってことについては,若干,腰が引けてた部分があったと思うんですよ。
それは,なんか過去のいろいろなことが頭をよぎったりして(笑),あの時のことが今また噴出するんじゃないかとかですね,またお叱りをいただくんじゃないかとか。
私は,たまプラ以外でも沿線のあちらこちらで地域の活動をかなりやっていますので,遠回りなようでも,それをやっていたほうが結果的にはうまくいったり,スピードアップできたりするってことを経験的に知っています。
横浜市さんにも「言い訳のためのワークショップだとみんな怒り出しますよ。出した答えに対してきちっと責任をもって一緒にやっていくってことをブレずに示していけば,住民の皆さんにもきっと理解していただける。そのワークショップのプログラムもきちっと住民の皆さんの意見が反映されていくようなステップをうまくプログラムしていけば,皆さんの満足度も多分高まりますよ」・・・という話をしました。それで,横浜市さんもよしやりましょう,と。
我々が引っ張ってきたっていうとちょっとエラそうな言い方になっちゃうんですが,でも横浜市さんも,きちっとお話しすると,意外と住民の方から応えていただけるんだ,ということがわかってきたら,もうどんどん熱心になっていって・・・。
多分皆さんもお感じだと思いますが,コンサルタント会社に丸投げ,お任せではなくて,横浜市さんも東急も結構みんな出てきましたよね。あれは義務感もあるかもしれませんが,みんな楽しいんですね。こういう仕事がしたかったんだって。そのプロセスを横浜市の職員の人もみんな楽しまれていて,そのことがいい雰囲気の流れになってきたのかな,と思います。
トップに戻る
DSC00668

■開発し終わった街にもう1回かかわるというのは,やったことがなかった。

今回多摩田園都市の60周年ということで,実はこの本(新建築11月別冊「郊外のサステナビリティ 東急電鉄にみる地域開発とその運営」)の帯(「祝東急多摩田園都市60周年記念」)はうちの会社がつけたものなんですね。我々が買い取った分だけ,この60周年の帯をつけたんです。特注なんですけど(笑) 我々の思いはまさにここにあるんですね。
私はとくに開発部門で育ってきましたので,私が入ったころはまだ沿線の区画整理がそれなりにされていた時代で,あの当時の我々のまちづくりというのは,山林を切り開いて,道路を抜いて公園を作って学校用地を作って,商業施設を誘致して・・・というようなものであって,先輩たちからも教わってきて,そういうものだと思っていたんですよね。
ところが,今回次世代郊外まちづくりやって,我々が思い直しているのは,やっぱりまちづくりっていうのは,そういうハードだけじゃない。・・・どうしてかって言うと,我々「まちづくりデベロッパー」だなんて自分たちのことを言ってるわりにはですね,結構そういうソフトとかマネジメントとかっていうところまでは,やれていなかったし,やっぱり営利企業ですので,作っては売り作っては売り,というサイクルがビジネスとして成り立っていて・・・過去,開発し終わった街にもう1回かかわるというのは,やったことがなかったんですね。
私としては,作ってお売りしたら,もうかかわらない,あとは行政と住民の方で好きにしてください,というのはあまりにも無責任だし,そこがどうなっていくかによって我々の業績にも関係してくるわけだから,ひとつの我々の商売上のテリトリーだと考えれば,そこを深く耕し続けるっていうのは重要なことだと思っています。そういう意味で,我々は「農耕型のデベロッパー」です,と言っているんです。
トップに戻る
DSC00588

■横浜市とイコールパートナーは画期的なこと

画期的ですね。というのは,横浜市さんと東急電鉄は,まちづくりをしていくなかでは,許認可権者と事業者という立場で,上下関係にあるんですよ。我々の先輩たちも,そういった過去の経験が体の隅々までしみついているので,我々の大先輩にこの次世代郊外まちづくりを始めましたって報告をしたら,驚いてるわけですよ。「えっ,横浜市と? イコールパートナー,イーブンパートナーみたいな感じでやれてるのか? 俺たちの時代では考えられなかった」って。そうだったと思いますよ。横浜市に限らず「お上意識」というのがどうしてもありますから,変なことやって目をつけられて,通るはずの建築確認が通らなかったらどうしよう,とかね(笑),ここでの仇をあっちで討たれたり,とかがないようにですね,みんな細心の注意を払って行政とおつきあいをしてきたわけですよね(笑)
それが,どちらかというと同じ席に座って喧々諤々やって,時には「おかしいんじゃないですか」ぐらいなことを言いながらやってるわけですよね。そういうことって,昔の,私が入社した頃のことを思うと,ちょっと考えにくいですね。

■建築局がハブ機能を担ってくれて・・・

次世代郊外まちづくりは,横浜市で十幾つの部局がかかわっているんですが,建築局が横浜市全体の窓口をやっていただいているんですよ。お役人的な発想になれば自分の守備範囲だけ守っていれば百点なんですよね。言葉は悪いですが,役人ぽい人だったら,いや,そんなことまで私たちはやりませんよって。
ところが,建築局の方がすごいのは,この活動が自分たちとしても意義があるし,やらなければいけないということで,ご自身たちの業務分掌をはずれても動いていただけているんです。建築局が横浜市のなかのハブ機能を担ってくれて,迅速に必要なところに話をつけてきてくれている,横串を刺す役割をしてくれているんですね。これが非常に有難いですよね。
ほかの部局は確かに温度感は違うと思うんですよね。きっと「なんでオレのところがそんなこと言われなきゃいけないんだ」って庁内では,言われているんだと思うんですが,「いや,そこをなんとか」って,錦の御旗を持って突破しようとされているんだと思うんです。それは感じますね。そこは本当によくやっていただいています。
トップに戻る
DSC00610

■まちづくり株式会社ができれば,もっとうまくつながる。

まちづくりをするのに,「まちづくりマネジメント会社」みたいなものがあったほうが,いろんなことができる。それは,任意団体でも,LLP(有限責任事業組合)でも,NPOでも,一般社団法人みたいなものでもなんでもいいです。必ずしも株式会社にこだわることはないんですが,株式会社は制約があまりない点がいいんですね。ほかの組織だと,収益があげられないとか,契約をしてもらえないとかですね,いろいろ制約が出てくるんです。その代わり,気楽にやるなら,そんなにオブリゲーションがないので任意団体でいいよねってことになりますけど。
企業と組んで何かをする場合でも任意団体では契約ができない。例えば,見守りを兼ねたポスティングのプロジェクトでも,小さいながらも仕事をとりたいんだったら,きちっとした受け皿としての組織が必要になってくるんですよね。
また,「まちづくり会社」が年収800万も1千万も稼ぐっていうイメージではなくて,おこづかい程度には報酬が出て,自分たちが活動していけるだけの収益が出る。そして何か目に見えて地域のことがよくなっているみたいなことが実感できるぐらいのサイズの組織体。そんな組織体ができると,多分,行政,企業,住民,というのがもっとうまくつながるのじゃないかな,という気がしています。

■「まちづくり会社」は横浜市・東急・住民出資の第4セクター?

何かみんなで一緒にしなきゃいけないことっていうのがあると,コミュニティがひとつにまとまりやすいですね。昔,里山で入会地ってありましたよね。そこできのこを取ったり,薪を取ったり・・・。それは,そのコミュニティの守るべき共同資産なんですね。
例えばマンションなら,共用部分は共同で管理しないといけないから,管理組合ができる。でも,一戸建ての住宅地には管理組合って概念がないですよね。共有するものがないからって,一般的には言われているんですよ。でも,私はそうじゃないと思っていて。
みんなが大事にしている地域の共有の物ってあるんじゃないかなって。それを何かこの次世代郊外まちづくりでも見つけられるといいな,と。
例えば,エネルギーなんていうのは,もしかしたら共有物かもしれないですね。電気は今までは東京電力から買うものだったですよね。今国会で議論されていますが,電気事業法の改正をしていて,2016年には自由化になるんですね。
例えば,地域の再生可能エネルギー,太陽光だとか,風力とか,バイオマス,なんでもいいんですが,地元で作ったエネルギーをみんなで集めてみんなで使いあう。前はできなかったですが,今度できるようになる。そうすると,地域のエネルギーはみんなの共有物で,うまく使いましょう,となるとそれを管理する組織がいるじゃないですか。
母体としてエネルギーと情報をみんなで共有するのが,この「まちづくり会社」です。ついでに見守りもしましょう。ついでに宅配もしましょう。
ひとつの大きなマネジメントの会社とか組織があって,そこに宅配部とか見守り部とか,エネルギー供給部とか,がある。
それを住民の皆さんだけで運営できれば,もちろん一番素晴らしいんだけど,お金とかノウハウとか心配でしょうから,そこはスタートの時には,少し横浜市さんからも基金が出て,東急からも出資金が出て,それに住民の皆さんのお金が入るから,第4セクターみたいなものができるといいんじゃないのかな。
トップに戻る
DSC00603

■「たまプラーザ地区でかかる植栽管理コストを住民にください!」

企業は長年経営していると,徐々に澱(おり)がたまるように高コスト体質になってくるんですよね。それで,地域の細かいことを大企業がやると,やっぱりコスト倒れになっちゃうんです。例えば見守りのこととかは,住民の皆さんの小回りのきく組織体でやったほうが,うまくいくことが結構あると思うんですよ。
私が常々思っているのは,たまプラーザは桜並木がすごくきれいで,春はみんなわーっと来ますよね。でも,今桜も古木になってきて,今度切るって話を聞きましたけれども,(あれも残念な話ですが,)桜は成長が速いので,常にそれを回していく。つまり,ここは抜根して新しいのを植える,また来年はここに植えるっていうふうに循環させていけばいいと思うんですね。
でも,横浜市が所管すると,お金がないですから,どうしても,もう桜は切ります,切ったら植えませんっていう杓子定規な話になっちゃうんですよ。それだったら,そこの仕事は,地域の事情が一番わかっていて,目が行き届いて小回りがきいて,そして愛着を持っている住民の方に任したほうがいいんじゃないですか,と。
市の職員が見に来て,じゃあ来年度予算でここやろう,じゃダメなんですよ。ああいうのは,市がやったらこのぐらいかかるというお金を地元に渡して,その範囲で地元の人たちが植え替えをしたり,肥料をやったりするようにすれば,そこに小さな雇用とか,楽しみが出てくる。そういうことを僕は次世代郊外でやったらどうですかって思っているんです。
この間,講評会で桜並木を守ろうっていうご提案をいただきましたよね。あんなのは絶対地元主導でやったほうがいいはずなんです。横浜市に「たまプラーザ地区で植栽管理コストにどのくらいかかっているんですか?」って聞いて,そしたら例えば「100万です」と。「じゃあ,その100万全部頂戴!」と。「もう横浜市に迷惑かけないで,私たちでもっといい状態にしますよ」って。
例えば,「みど*リンク」(東急沿線でコミュニティ活性化につながる緑化活動をしているグループへの支援)というのを私の部署でやっていまして,去年たまプラーザでも1件支援させていただきましたが,あんな制度をうまく使っていただけると,1団体最高100万円分のご支援ができるんですね。例えば,東急から100万円貰って,行政からもいくばくか貰ったら,ボランティアベースで十分活動していけるんじゃないかと思うんですね。
トップに戻る
DSC00628

■30代のとき,南町田グランベリーモールを企画しました。

私は開発畑がずっと長いんですが,仕事として形に残ったもので言えば,一番最初のものが,南町田のグランベリーモールです。あの企画は最初から私もかかわってやったものなんです。
とにかく私は会社の流れとか,上司にこれやれって言われてやるのは,あんまり好きじゃないんで(笑)会社としてのあるべき姿は考えているんですが,前例がなかったり,ハードルが高いと思われていて,誰も手を出さないようなことに興味を持つんですね。
例えば南町田の場合は,3万坪の空き地が,私が入社した時からずーと,駅前に放置されていました。たまにそこで会社の運動会なんかやったことを懐かしく思い出すんですが。
商業地域に指定されていて,なんでも使える用途だったんですが,誰も使わない。過去には開発計画もあったというんですが,あそこではマーケットがないとか,会社では提案すら全然出てこない。「じゃあ,私が使っていいですか?」って。
当時30代だったんですが,お買い物をしていて,日本のショッピングセンターって,なんでこんなに画一的なんだろうって。お買い物をするだけじゃない楽しみとかがあんまりないなーと感じていて。でも,アメリカとか遊びに行くと,なんか楽しいショッピングモールっていっぱいあるなー,と。アメリカンスタイルのショピングモールを,需要がないっていう人もいるけど,やってみたら面白いんじゃないかなー。
で,検討しているうちにアウトレットというのが視点に入ってきて。当時日本ではアウトレットは成立しないと,まことしやかに言われていてですね。なぜなら,アメリカと流通経路が違うからって。そうなんだろうかっていうんで,いろいろ自分たちなりに考えてチャレンジしたのが,あれです。お陰様で,比較的成功したわけなんですが。
そういうふうに,やるべきなんだけども,誰も手を出さない,というようなことにわりと関心をもつタイプですね。

■子どものころのニックネームは「Jack Amano氏」?

子どものころからヘソまがりと言われていました。はい,親からはあまのじゃくと言われていましたね(笑)Jack Amano氏とか言われていました(笑) 
それから,わりと飽きっぽいんです。ひとつのことを何十年もやる,これも立派なことだと思うんですが,私は5年ぐらい集中して,バーッとちょっと新しいことをやって,「ほら,みんなできないって言ってたけど,できるじゃないか」ってところをやって見せたら,また次に興味の対象が動く,みたいな感じのところはあるかもしれないですね。
横浜市との協定期間は5年間ですが,多分うちはかかわった以上は,5年でやめるってことはあり得なくって,延々と続くと思います。で,延々と続く部分は,うちの会社の誰かに引き継いでいくことになると思うんですね。
私は何度もこういう立ち上げ期をずーとやってきています。立ち上げ期というのは,答えはないし,前例もないから,大変なんですね。大変なんですが,その大変さと,出来上がって何か見えてきた喜び,できたじゃないかっていう気持ちを比較すると,そちらのほうが大きいので,頑張れちゃうっていう感じですかね。でも,だいたいこれでいけるっていう形ができちゃうと,もう私は興味がなくなってくるんです(笑)

■未開の地を切り拓くのが面白い。

でも,うちの会社には一度引いたレールの上を正しく走る社員はいっぱいいるんですよ。
新しく北へレールを引いたらいいのか,南に引いたらいいのかは,みんなはわからない。あそこはなんか崖があるじゃないか,とか,山があるじゃないか,とか,オオカミが出るぞ,とか,そういうことをみんな言うわけですよね。でも,オオカミが出てもいいじゃないか,行ってみようっていうのが僕で,「ほら,通ったよ,レール」って言うと,「あー,通った通った」ってみんな行くって感じなんですよ(笑)
南町田の事例がまさにそうで,私はその時まだ若かったですし,そういうことを成功した経験があるわけじゃないんで,会社にやらしてくれって言った時に「こいつにやらせてどうなる?」って思われたでしょうが,でもまだ時代がよかったのか,「やれるならやってみろ」っていうような感じで,ただし,「条件がある。10年でやめろ」と言われたんですよ。期間限定の事業としてスタートしたんですが,10年超えても,まだグランベリーモールはあるので,多分レールが引かれると,それを踏み台にしてさらによくしていけるタイプの人材がうちの会社にはたくさんいるんですね。
それはもう僕よりもそういうことが得意な人はいっぱいいるので,それはそういう人にお任せする。でも,どちらかというと,未開の地を切り拓く人があまりいないんですね,残念ながら。そういうことに面白がってかかわる人間が,たまたま一人ここにいた,ということだと思います(笑)

実家は鷺沼にありますが、今、品川のほうに住んでいます。家族は4人ですが、息子は現在茨城県の農業学校に通っているので寮暮らしです。
ペットはね,カメが1匹います(笑) マンション暮らしなんで犬は飼えないんです。
犬が大好きなんですよ。イヌ派ですね,私は。
(構成/辺見真智子  撮影/立山徹)

東浦亮典(とううら りょうすけ)さん/1961年生まれ  やぎ座
東急電鉄 都市開発事業本部 都市戦略事業部 
企画開発部 統括部長
東京都品川区在住 4人家族+カメ1匹 
トップに戻る

美しが丘中学校で伊藤香織先生が「シビックプライド」講演。

  • 11月2日(土)美しが丘中学校で,「シビックプライド」(まちに対して持つ自負と愛着)について,東京理科大学理工学部建築学科・伊藤香織准教授の講演が行われました。
    この講演会は3年生社会科公民授業として行われたもので,9月から進められている「次世代郊外まちづくり」学習の一環として開催されました。(撮影/立山徹)
    DSC00631_r
    美中出前授業(9月11日/まちづくり地域レポート既報)に続く第2弾!
    左から,東急電鉄・市川さん,伊藤先生,横浜市建築局・大友さん
    DSC00634_r
    You are your city.「あなた自身があなたのまちなのです」
    DSC00640_r
    「まちを変えるアイデアありますか?」
    DSC00637_r
    3年生ひとりひとりが持つ「次世代郊外まちづくり」のファイル。
    来年3月には,生徒による提案があります。